生臭い、なにも残るものなど無い争いが終わりを迎えた
僕は滴る鮮血に目を一瞬やると すぐに無造作に横たわる君を見つめた
心も身体も魂もきっと元には戻れない 少しずつ重ねていった記憶も今は過去のもの
優しく抱き上げた僕に伝わるのは後悔と冷たさだけ ねえ、君はなにを考えているの?
溢れ出す場違いな感情を抑えきれずに 触れていた手に強い力が加わった
あと一歩が踏み出せなくてもどかしさが襲う だけどこんなの「弱さ」なんかじゃない
頬を優しく撫でると同時に、流れていた血に触れた 生暖かくてどこか寂しげな血
「守る」が「欲しい」に変わるとき 僕はきっと純粋で無垢な君を傷つけてしまうだろう
だからもう少しの間そのままでいて 欲望は全て「此処」に込めるから
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